ローソク足はチャートの種類の中でも最もポピュラーです。
ローソク足の1本1本が一定の時間区切りで作られていき、時間の経過とともに左から右に向かって進んでいきます。
専業トレーダーの中には、このローソク足だけで勝っている人もいるくらい、FXの基本とも言えるテクニカル指標です。
ローソク足とは
日本ケイ線の足型は江戸時代の堂島の米相場に起源を持っています。
和綴じの帳面に出来高を記録するところから始まり次第に工夫がなされ、明治時代に入って東京証券取引所が創設されて株式取引にも活用されるようになったことから罫線の記載方法が一層発展しました。
ローソク足は明治30年代にダイヤモンド社が開発した究極の足型です。
欧米で主流となっているバーチャートと同様、一定期間の四本値(始値・高値・安値・終値)から構成されますが、バーチャートと違い、色と形状によって4つの価格の位置関係を表し、視覚的に市場の情報を示唆する面において優れています。
ローソク足は元々「陰陽足」と呼ばれていましたが、形がローソクに似ているところから次第にローソク足と呼ばれるようになり、欧米でも「キャンドルスティック」と呼ばれています。
「陰陽」「長さ」「実体とヒゲ」「上ヒゲと下ヒゲ」「2本の組み合わせ」「3本の組み合わせ」などで市場心理を判読するのに適した情報量の多い足型です。
ローソク足の作成方法
ローソク足は欧米のバーチャートと同様に、ある一定期間の4本値(始値・高値・安値・終値)によって構成されます。
日足であれば1日の始値・高値・安値・終値を使用し、週足であれば月曜日の始値、その週の高値・安値、金曜日の終値を使用します。
ローソク足最大の特徴はその実体に陰陽があるということです。
終値が始値よりも高い場合は実体を白で、終値が始値よりも安い場合は実体を黒で表します。始値と終値が同じ場合は横線1本で表します。
この色の違いによって市場心理の強弱を表すことができます。
長い実体は白であれば市場が強気であることを、黒であれば弱気であることを示しています。
ヒゲは価格の端を示しており、ヒゲの長さで相場エネルギーの消耗度合いを感じることができます。ヒゲが長いと市場でエネルギーを使い果たし、価格が戻ってきたことを表しています。
ローソク足の色は赤と青?
一般的にローソク足の色は陽線が青(緑)、陰線が赤に設定されていることが多いですが、どのような色に設定されているかは各業者のチャートによって異なります。
特に決まっているわけではなく、たいていのチャートソフトでは自分で見やすいように好きに決められます。
ローソク足の足形の主な種類と解釈
形状 | 解釈 | |
---|---|---|
① | 上昇の勢いが強いことを示唆。 底と考えられる場所で長い線が出現するとトレンド転換につながりやすい。 |
|
② | 上昇勢力が強いことを示唆。 下値抵抗があり、さらに上昇可能性あり。 |
|
③ | 上昇勢力があるものの、上値に抵抗感がある形。 特に高値圏で出現すると下落につながりやすい。 |
|
④ | 下降の勢いが強いことを示唆した形で、 特に長い線が天井付近で現れるとトレンド転換につながりやすい。 |
|
⑤ | 下降の勢いが強いことを示唆。 上値抵抗感があり、さらに下降する可能性。 |
|
⑥ | 下降の勢いがあるものの、下値抵抗感あり。 特に安値圏付近で出現すると上昇につながりやすい。 |
|
⑦ | 相場転換や一時的な均衡状態を示している。 | |
⑧ | 高値圏・安値圏での転換を暗示。 | |
⑨ | 高値圏・安値圏での転換を暗示。 | |
⑩ | 安値圏での出現は上昇転換の暗示。 高値圏での出現は上値が限定的(首吊り線)。 |
|
⑪ | 安値圏での出現は上昇転換の暗示。 高値圏での出現は上値が限定的(首吊り線)。 |
①丸坊主とはヒゲがついていないローソク足です。陽の丸坊主では上昇方向に大きく動いたことを示し、買い勢力が強いことを示唆しています。
底値圏で出現した時は転換のシグナルとして見られることも多い形状で、相場の強さを物語るローソク足です。
②大引け坊主とは終値方向にヒゲがない実体の長いローソク足です。
陽の大引け坊主は一時的に始値を下回るものの大幅に上昇し、高値で終わった事を示します。丸坊主ほどの勢いはありませんが、上昇勢力が強いことを示唆しています。
③始値方向にヒゲがない実体の長いローソク足です。
陽の寄り付き坊主は始値以降大幅に上昇したものの、取引終了までその勢いは続かずにやや押し戻されて引けたことを表しています。上昇勢力が強いことを示唆します。
④陰の丸坊主は下降方向に大きく動いたことを示し、売り勢力が強いことを示唆しています。
高値圏で出現した時は転換のシグナルとして見られることも多い形状で、下降相場の強さを物語るローソク足です。
⑤一時は始値を上回るものの大幅に下落し、安値で引けたことを示します。売り勢力が強いことを示唆しています。
⑥陰の寄り付き坊主は終値以降大幅に下落したものの売りが一巡し、やや押し上げられて終了したことを表しています。下降勢力が強いことを示唆しています。
⑦十字線は相場が均衡している状態を示します。十字線は転換点に出やすい形で上下のヒゲが短い程売り買いが拮抗していることを表します。
⑧トンボは上ヒゲがなく、下ヒゲが長いローソク足で寄り付き後、売り優勢で大幅に下落した後、始値まで買い戻された形です。底値圏での出現は上昇トレンドを示唆しています。
⑨トウバは「塔婆」と書き、下ヒゲのない買い方の勢いが続かず始値まで寄り戻した形になります。トウバが高値圏で出現した時には下降相場への転換を暗示します。
⑩実体が短く、長いヒゲを持つ形を「カラカサ」と呼びます。
カラカサは主にヒゲが実体の3倍以上となる場合が多いのが特徴で、一時大量の売りがあり大幅に下落したもののその後、その売りを上回る買いが起こり高値で引けたものです。
安値圏で出現すれば上昇転換の暗示となります。高値で出現した時には上値が限定的ですので安易に飛びつくと高値掴みになることから「首吊り線」とも呼ばれています。
⑪陰線のカラカサは大量の売りに対して買いが起こったものの売りに対しては力及ばず始値を下回って引けた形で安値圏での出現は上昇転換の暗示です。
ローソク足2本の組み合わせ
ローソク足は1本でも十分に深い意味を持ちますが、2本の組み合わせでさらに市場心理の分析をすることができます。
形状 | 解釈 | |
---|---|---|
⑫ | 相場の一服を示唆。 安値圏で出現したら買いシグナル。 |
|
⑬ | 前の足の陰線をすべて包み込む勢いを持っている。 底値圏に現れたら買いシグナル。 |
|
⑭ | 安値圏で出現したら買いシグナル。 ただし、下落トレンド中に出現したら、 戻り売りのシグナルとなる場合もあるので注意が必要。 |
|
⑮ | 一旦売りとなったものの、売りは一巡して買い転換の暗示。 | |
⑯ | 強力な買いを示唆。 | |
⑰ | 相場の一服を示唆。 高値圏で出現したら売りシグナル。 |
|
⑱ | 前の足の陽線をすべて包み込む勢いを持っている。 高値圏に現れたら売りシグナル。 |
|
⑲ | 高値圏で出現したら売りシグナル。 ただし、上昇トレンド中に出現したら、 押し目買いのシグナルとなることもあるので注意が必要。 |
|
⑳ | 一旦買いとなったものの、買いは一巡して売り転換の暗示。 | |
㉑ | 強力な売りを示唆。 |
⑫前日の陰線の値幅の中に翌日の陽線がすっぽりと収まっているローソク足です。相場の一服を示唆しています。
⑬前日の陰線が完全に包み込まれるように翌日の陽線が大陽線になっている形です。安値圏の陽線包み線の出現は買い勢力の出現を暗示し、買い転換を示唆しています。
⑭たすき線の特徴は前日の実体の中に始値があることです。前日下落したにも関わらず、翌日には前日の高値よりも上昇した形で前日の下落を打ち消すような形になります。
底値の陰線の実体の中に始値があり、前日の高値よりも上昇して引けた陽線であることからたすき線であることが分かります。
前日の下降を打ち消すことになり、底値圏で出現しているので買いシグナルとなります。
⑮前日の大陰線からの下離れて始まったものの、前日の実体の中心を上回る大陽線となっている形です。一旦売りとはなっていますが、売りは一巡、買い転換を示唆しています。
⑯前日の終値から離れてさらに上から始まり、上放れしたものでローソク同士がつながっておらず空間を開けていることから窓と呼ばれています。陽線の窓は強力な買い勢力を示唆していますが、相場には窓を開けたら窓を埋める動きを見せる傾向もありますので揺り戻しには注意が必要です。
前日が陽線、窓をあけてさらに上昇して引けているので強烈な買い勢力があることが伺い知れます。このようなときは買いシグナルです。
⑰前日の陽線の値幅内で小幅な陰線に収まっているものです。相場の一服を示唆しています。
⑱前日の陽線を完全に包み込み、大陰線を作っているものです。高値圏で現れたら相場の後退は明らかであるということを表しています。
先日の陽線をすべて包み込むような大陰線が出来上がっています。このチャートでは前日とその前の日、2つの陰線をすべて包み込んでしまっていますので、既に買い勢力は弱まっていることが分かります。
高値圏でつつみ線が出現していますので売りシグナルです。
⑲前日が陽線でその陽線の実体内に始値があり、前日上がったにも関わらず翌日は前日よりも上昇した形です。前日の上昇を打ち消す形となります。
⑳陽線の翌日に高値よりしたが反落して前日の陽線の中心以下で引けた形です。高値圏で出現すると売りシグナルとなります。
㉑前日の陰線終値からさらに離れて始まり、下離れしたもので前日のローソク足と価格がつながっておらず空間を開けています。強力な下落を示唆しています。
ローソク足3本の組み合わせ
ローソク足は2本の組み合わせにとどまらず3本、4本とパターンがあります。
しかし、日足の5本では週足と同じになりますので組み合わせとして意味があるのは4本線までと言え、パターンとしては3本までが現実的です。
ローソク足3本の組み合わせは「酒田五法」として知られているもののうち「三兵」「三川」と呼ばれるものです。
三兵
「三兵」は陽線が3本連続で右肩上がりに並んで現れた形で、力強く勢いがあることを示唆していて、「三兵行進」とも呼ばれています。
陽線が3本右肩上がりに並んでいる「三兵」が出現しています。
三兵行進は上昇トレンドの途中で現れたときよりも、トレンドの最初の方で現れたときの方がシグナルとして使いやすいので、トレンド発生の初期の三兵は要チェックです。
あまり出現することはありませんが、まれに天井付近で三兵行進が現れることがありますがこれはダマシになることがあるので注意してください。
三羽烏
「三羽烏」は「三兵」の逆です。陰線が3本連続で右肩下がりに並んで現れた形で典型的な下降相場を示します。
陰線が右肩下がりに3本連続で並んだ三羽烏は下降の典型的な形です。
三兵行進と同様にトレンドの初期で現れる三羽烏はシグナルとして利用しやすいのでトレンド転換後の三羽烏は要チェックです。
三川
三川はローソク足が3本並んだ組み合わせの中の三兵と三羽烏以外のパターンを言います。
宵の明星
宵の明星は相場が頭打ちであることを示唆し、下げ相場への転換を暗示しています。
特に1番目と2番目のローソク足に窓を開けた場合は瞬間的に大きなエネルギーが発生し、上昇相場の行き過ぎにつながり、3番目の陰線が下降トレンドの出発点となります。
小さな陽線が窓を開け、次の日も小さな陽線で終了し、さらに翌日に大陰線になっているパターンです。
最初の2つの陽線が窓を開けているということは瞬間的に大きなエネルギーが発せられたことを意味します。
ここでエネルギーが放出されたため上昇トレンドはすでに行き過ぎの状態となり、価格は頭打ちとなります。
宵の明星が高値で現れたら下降トレンドの開始を示唆しています。
明けの明星
明けの明星は下降トレンドに瞬間的に大きな相場エネルギーが出て底を打った形です。
「明けの明星」の言葉どおり、上昇トレンドの始まりを暗示しています。
宵の明星とは逆に窓をあけた2つの陰線の後、大陽線が出ています。
ただし、このチャートは前の2つの陰線がコマ足のような小さな陰線ではないので教科書的なきれいな明けの明星とは言えません。
しかし下降トレンドの終盤で窓を開けるほどのエネルギーで下降しているため、かなりの下降勢力が整理できていると言えます。
酒田五法
酒田五法は本間宗久が編み出したといわれる山形県の庄内酒田に伝わる罫線法ですが、実際には発祥は不明となっています。
酒田五法はテクニカル分析の中でも「パターン分析」に適した手法と言えます。
パターン分析は相場形成のパターンを捉えることにより、将来の動向や目標値、目標時間を予測します。
酒田五法では複数のローソク足が織りなす典型的なパターンを追求しており、日本を代表するパターン系テクニカル分析と言えます。
酒田五法には「三山」「三兵」「三川」「三空」「三法」があります。
このうち「三兵」「三川」については上記で説明していますので、ここでは残りの「三山」「三空」「三法」について解説します。
また、酒田五法に似た手法で、欧米で重要視されているプライスアクショントレードというものがありますが、そちらは「プライスアクショントレード|ローソク足だけで勝つ手法」で詳しく解説しています。
-
-
プライスアクショントレード|ローソク足だけで勝つ手法
プライスアクションとは、日本語で「値動き」のことを意味します。つまり、プライスアクショントレードとは為替の値動きに注目するトレード手法のことを言います。 ローソク足1本…
続きを見る
三山
三山は3つの高値がほぼ同じ値を形成したもので、3回高値を試したが更新することができないまま上昇エネルギーを使いきったために形成されます。
海外では「トリプルトップ」と呼ばれる形で、三山の逆の形を「逆三山(トリプルボトム)」と言います。
三山(トリプルトップ)
逆三山(トリプルボトム)
三山は相場の天井、逆三山は相場の底に現れる形で、三山の中でも2番目の高値が突出したパターンを「三尊(ヘッド・アンド・ショルダーズ)」、逆三山で2番目の安値が突出したパターンを「逆三尊(逆ヘッド・アンド・ショルダーズ)」と言います。
三山の場合はネックラインと山を形成する高値の間で攻防が行われていますが、高値を更新できずにネックラインを割れた場合はネックラインから三山の頂上までの距離と同距離が下値の到達目標となります。
三空
三空とは窓が3つ続くことを表し、相場の勢いが強いことを意味し、相場転換を示唆する形です。
三空叩き込み
下降相場で陰線が4本連続し、さらに窓が3つ開いた状態を「三空叩き込み」と言います。
酒田五法では「三空叩き込みに買い向かえ」という言葉があり、三空が下落相場の後に出現した場合は買い転換を示唆しています。
窓を開けながらの下落は強い下落基調を示しており、売りが売りを呼ぶ状態が発生しますが、大底を付ければ売り残りは少なくなり、上値に抵抗がなく弾みをつけて上昇しやすい状態となります。
三空踏み上げ
上昇相場で陽線が4本連続し、さらに窓が3つ開いた状態を三空踏み上げと言います。
同様に酒田五法では「三空踏み上げに売り向かえ」と言われ、強い売り転換を示唆します。
窓を開けながらの上昇は一気に買いが入ったことで買い勢力はすでに買いつくしてしまっており、一旦下げると下値の抵抗がなく大幅に下げやすい状態です。
窓を開けながら4本の陽線が続いています。
窓が連続して開いていることからかなり強烈な買い圧力であるということが分かりますが、逆を言えば最後のコマ足の陽線は買いつくしを意味します。
こうなると一度下降圧力がかかると勢いよく下降していくことになりますので、三空のときは安易な買い参入は危険となります。
三法
「酒田三法に休むの一手あり」という言葉がある通り、「三法」は「売る」「買う」「休む」ということです。
上げ三法
上げ三法は上昇の過程で出現した大陽線の後に小さな陰線や陽線をはらみ、最初の大陽線の高値を「陽の丸坊主」で抜けた形で保ち合い相場の上抜けを示します。
大陽線の中にはらんだ小さな線の間は上に抜けるのか下に抜けるのかが分からないので小休止せよ、という考え方です。
オレンジ色のエリアの中は2つの陽線で挟まれており前の陽線を上抜けもせず、下抜けもしない細かいローソク足が並んでいます。
この場合は上下どちらに抜けるのかわからない状態です。前の陽線の高値を上抜けるか安値を下抜けるまで小休止します。
この際、上抜けるときは基本的には陽の丸坊主で抜けることが酒田五法でのシグナルとなりますが、チャートでは丸坊主に近い形の陽線が2本並んで勢いよく高値のラインを上抜けていますのでここでエントリーとなります。
下げ三法
上げ三法とは逆に、下降途中で大陰線のあと、小さな陰線や陽線をはらみ保ち合いをしたあとに「陰の丸坊主」で抜けた保ち合い相場の下抜けを示します。
大陰線を下抜ければ下げ相場継続となりますが、この線を下抜けるまでは休んで待った方が良いという教えです。