徹底解説!「MT4」と「MT5」の違い
この記事でわかること
- MT4とMT5は何が違うのか
- MT4、MT5はそれぞれどんな人におすすめか
MetaTrader 4(メタトレーダー4)、通称「MT4」はFXトレードに役立つ取引ツールです。
豊富なチャート機能を備えており、あらゆるテクニカル分析ができることから、多くのトレーダーが使用する定番の取引ツールとして親しまれています。
MetaQuotes社が2000年に発表した「FX Chart」という安価かつ高性能なオンライントレードプラットフォームからその歴史はスタートし、翌年にはMetaQuotesという新たなプラットフォームを発表。
そして2003年にMetaTrader 3を、2005年に現在の主流となるMetaTrader 4をリリースしました。
そんなMT4の後継ツールとして2010年にリリースされたのがMT5(MetaTrader 5)です。
この記事では、これからMT4の導入を考えている方や「MT4は使ったことあるけど、MT5のことはよくわからない・・・」
という方向けに、「MT4」と「MT5」の違いや、スペック比較、MT4とMT5それぞれの特徴などをまとめて解説していきます。
MT4の後継ツール「MT5」とは?
「MT5」は、MT4のリリースからFXの取引環境やソフトウェア環境が大きく変わったことから、その変化に対応する目的で開発されリリースされました。
しかし、そのアーキテクチャ(システム設計)が大きく異なることから、MT4から簡単に移行するというわけにはいかないものとなりました。
つまりユーザーは、現行のMT4を使い続けるか、MT5に乗り換えるかの選択を迫られることになったのです。
その結果、世界で標準となっているMT4からの移行はあまり進まず、現状ではまだMT4が主流として使われるという状況になっています。
ただし、MT5はMT4で課題となっている部分を刷新する形で設計されているため、両ツールそれぞれで優れている部分や特徴が異なっています。
次の見出しでは、そんなMT4とMT5の具体的な機能の違いの解説と、スペックを比較して見ていきたいと思います。
MT4とMT5の違い&スペック比較
MT5はMT4の後継ツールであるため、MT4にはなかった機能や特徴を持っています。
ここからはそんな両ツールの違いと、スペックの比較を行っていきます。
※MT5はアップデートが続いています。
ここで述べたことは2020年1月時点のものなので、最新情報ではない可能性がある点をご了承ください。
板情報の表示
板情報とは、市場参加者の注文状況がどの価格帯にどれだけ入っているのかを示すものです。
現在の価格帯を挟んで、売り注文と買い注文の数が表示されていて、注文数が多い価格では買いあるいは売りで支えられている、といった情報がわかる便利なものです。
MT4では、この板情報をデフォルトでは見ることはできません。
(ただし海外FX業者のAIORYのように独自のEAで見ることができる業者もある)
MT4だけではなく、そもそも相対取引をしているFX業者では、板情報を表示していません。
国内のFX業者でも、板情報を提供できるのはごく一部です。
しかしMT5の場合には、取引所からデータを取得することで、板情報を表示させることができます。
もちろん、ここから直接注文を出すことも可能です。
FXトレードはチャートを見ながら・・・というトレーダーが多いと思いますが、株式取引のように板情報でタイミングを見ている人にとっては便利な機能です。
ECN口座への対応
FX口座にはいくつかの種類がありますが、インターバンク間で直接取引ができるECN口座はスプレッドが狭いので、スキャルピングに最適です。
しかしMT4は外部の取引所とは標準で接続できなかったので、ECN口座では板情報が表示できないといった課題がありました。
しかし、MT5は標準パッケージで世界中の取引所と接続できるので、ECN口座でもストレスなくトレードを行えるようになっています。
チャートの時間足の種類
MT4のチャートの時間足は全部で9種類でした。
しかし、MT5ではさらに細かく時間足が増えています。
具体的に分足は4種類に加えてさらに6種類を追加、時間足は2種類から7種類となっています。
日足・週足・月足は変わりません。
カスタムインジケーターとEA
MT4もMT5も、インジケーターやEA(自動売買ツール)を自作できるという特徴を持っています。
しかし、この両者には互換性がありません。
つまり、せっかくMT4で作ったインジケーターやEAを、そのままMT5に流用することができないのです。
これは開発環境が違う(MQL4とMQL5)ことが原因ですが、MT5の普及が進まない理由のひとつでもあるようです。
MT5はリリース当初こそインジケーターの種類は少ないものでしたが、2019年3月時点では3,000種類ものインジケーターを追加できるようになっています。
中には、過去の値動きを分析してこれからのチャートの動きを予測するインジケーターなどというものまであります。
EAに関しては、やはり長い年数をかけて個人や法人が開発してきたMT4には豊富に揃っています。
この点では、MT5はまだまだMT4には及びませんね。
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動作スピード
やはりMT4の後継とあって、MT5の動作スピードは速くなっています。
もちろんパソコンなどのスペック(正確にはメモリの量)もそれ相応に必要ですが、よほど古いマシンでもない限りは問題ないでしょう。
そもそもMT5がリリースされたのは2010年なので、最新のマシンでなくても十分にそのスピードを享受できます。
インジケーターの管理
MT5では、MT4にはなかったインジケーターのフォルダ分け管理ができるようになりました。
インジケーターを表示するナビゲーターウィンドウが、MT4では単に羅列表示のみでしたが、MT5ではフォルダを任意に作ることができるので、その中に格納する形で整理できます。
気配値
MT4では、気配値ウィンドウは「通貨ペアリスト」と「ティックチャート」のみでしたが、MT5では「銘柄」「詳細」「プライスボード」「ティック」の4種類に分けて表示されるようになりました。
特にプライスボードでは登録した通貨ペアを一覧表示して、気配値が一目でわかるようになっています。
さらにここから直接注文を出せるので、大変便利になっていますね。
対応するFX業者の数
MT5に乗り換えるユーザーが少ないために、FX業者の多くがMT5にはまだ対応していません。
とはいっても開発元の動きを見ていると、いずれMT4のサポートも終了することが考えられるため、MT5に対応するFX業者も増えてくると予測されます。
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アップデート
後継のツールということで、開発元はMT5の普及を進めています。
MT5はアップデートを重ね新しいバージョンのリリースが続いていますが、MT4はもうほとんどアップデートが行われていません。
MetaQuotes Software社のサイトをみても、ダウンロード項目はMT5のみとなっていますし、すでにMT4 のダウンロード自体もできなくなっています。
スペック比較表
最後に、MT4とMT5の比較表を記載します。
MT4 | MT5 | |
---|---|---|
板情報 | 非対応 | 対応 |
ECN口座 | 非対応 | 対応 |
チャートの時間足 | 9種類 | 21種類 |
カスタムインジケーター・EA | 豊富 | 増えている |
動作スピード | 遅い | 速い |
インジケーター管理 | 不便 | 便利 |
気配値 | 2種類 | 4種類 |
両建て | 可能 | 可能 |
対応する業者 | 多い | 少ない |
アップデート | 終了? | 多い |
MT5のメリットとデメリット
MT4とMT5を比較すると、いろいろと相違点が見えてきましたね。
では、MT4ではなくあえてMT5を使うと考えた時、MT4と比べてどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
ここからはそんなMT5のメリットとデメリットをご紹介していきます。
メリット
動作スピードが速い
動作スピードが速いのはMT5の大きなメリットです。
特にスキャルピングのようなトレードをする場合、レスポンスが遅いと話になりません。
板情報を見ることができる
チャートだけでトレードする人には関係ありませんが、板情報を見ることができる点もメリットといえます。
これからFXトレードを始めようという人にとっては、トレード手法の選択肢が増えるというわけです。
時間足が細かい
トレード手法の選択肢が増えるという点では、時間足が細かい点もメリットといえるでしょう。
細かな時間軸で値動きを分析できるので、トレードの時間軸の幅も広がることにつながります。
デメリット
MT5のデメリットは大きく2つあります。
対応業者が少ない
まずひとつは、MT5に対応しているFX業者がまだ少ないということです。
現時点で新規にFX口座を開設する場合、目当ての業者がMT4にのみ対応しているのであれば、必然的にMT5は使うことができません。
MT4からの乗り換えが簡単にはできない
もうひとつのデメリットは、すでにMT4を長く使ってインジケーターやEAを構築している人は、簡単にはMT5に乗り換えることができないことです。
ただし、MT4とMT5の壁となっているインジケーターファイルのmq4からmq5への変換を、自動で行うコンバージョンプログラムも出てきています。
面倒ではありますが、自前のインジケーターやEAを手作業でもMT4からMT5に移植できれば、乗り換える障壁はなくなるかもしれません。
MT4・MT5はそれぞれこんな人におすすめ
これまでMT4とMT5の特徴や違いを見てきましたが、結局それぞれはどのような人におすすめなのでしょうか?
そこで、将来性というものも踏まえて、それぞれがおすすめなのはどのような人なのかをまとめてみました。
MT4がおすすめな人
すでに多くのEAやオリジナルのインジケーターをMT4で構築している人は、そのままMT4を使い続けることになると思います。
またスピード面においてはMT5に見劣りするものの、そのトレード環境に慣れていれば、MT5に移行するとリズムが狂うかもしれません。
MT4でのトレードで利益を出している人は、MT5に乗り換えるよりもそのままMT4でトレードを続けることをおすすめします。
また、これからFX口座を開設する予定の人で、目当ての業者がMT5に対応していなければ、MT4を選択せざるを得ないでしょう。
MT5がおすすめな人
これからFXトレードを始めようという方、さらに自動売買についても勉強していこうという方は、最初からMT5を選んでおくとよいかもしれません。
アップデートが進むMT5は使い勝手がMT4に近づいていますし、MT4とMT5には互換性がありませんから、最初からMT5で自分なりのシステムを構築しておいたほうがよいでしょう。
また、海外FX業者もMT5に対応するところが増えているので、海外FXで口座を開設する予定の人も、MT5を選んでおくとよいかもしれません。
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