サイクル理論とは?株・FXの周期とメリマンサイクル論

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サイクル理論は価格の上下の縦の動きではなく、横の動き、つまり時間に重きをおいて価格の変動のパターンを捉えようとする分析方法です。

過去の景気の底から底までの周期を観察して、次の底値はいつ来るのかを予測し、新しい景気の始まりを見極めようというものです。

昔の人は天体の周期を調べて暦をつくって農作物を育てる時期を知り、潮の満ち引きを知り、人間の色々な活動に暦を活かしてきました。

サイクル理論というのは、人間の活動のほとんどがサイクルを持っていて、経済活動、株式、商品相場にもサイクルがあるという考え方で、そのサイクルを見つけて将来の底値を探ろうとするものです。

株式投資やFXでも、市場に大暴落が起こってパニックになったりしますが、後から見てみるとその大暴落がきっちりとサイクルの終了点と重なっていたりします。

つまり、サイクルを観測していればある時期になったら底値を付けることはあらかじめ予測していたものになるので、自分はパニックに巻き込まれずに済みますし、さらには底値を拾って大きく儲けることもできるわけですね。

では、サイクルはどのような期間があって、どのように見つければいいの?って思いますよね。

その相場の周期というのはすでに投資のプロたちや経済学者たちが有効な周期を示してくれているんです。

その既にある周期の転換点を見つけて次の底値を予測するだけなので非常にシンプルな手法なんです。

これまで発見されてきたサイクルには大きなサイクルと小さなサイクルがありますので、大きなトレンドの転換点を見つけるのにも役立ちますし、小さなトレンドでトレードの参入点を見つけることもでき、ある程度自分に合った投資期間でサイクルを利用することができます。

サイクル理論とは

大きなサイクルの中に小さなサイクルがある

長期サイクルの中にはいくつかの中期サイクル、中期サイクルの中にはいくつかの短期サイクルが存在します。

逆に言えば、小さなサイクルがいくつか合わさって1つの大きな波になります。

小さなサイクルと大きなサイクルの起点と終点は重なる

長期サイクル、中期サイクルの起点と終点は重なりやすくなります。同様に中期サイクルと短期サイクルの起点と終点は重なりやすい特徴があります。

特に、長期サイクル、中期サイクル、短期サイクルがすべて重なった時には相乗効果により大相場になります。

 

代表的な景気サイクルと周期

現在、景気のサイクルは

  1. コンドラチェフ・サイクル 50~60年(戦争・技術革新、投資の変動サイクル)
  2. クズネッツ・サイクル 20年(建築投資の変動サイクル)
  3. ジュグラー・サイクル 10年(設備投資の変動サイクル)
  4. キチン・サイクル 40ヵ月(在庫投資の変動サイクル)

があるとされています。

ちなみにサイクルの名前はそのサイクルを発見した人の名前です。

①コンドラチェフ・サイクル

ロシアの経済学者コンドラチェフが発見した世界経済の約50~60年の長期サイクルです。

コンドラチェフは経済には約20年の拡大局面があり、インフレ圧力が強まって7~10年高原状態が続いた後、約20年間の後退局面になると考えていました。

技術革新によるサイクルとされていますが、戦争を中心に起こるサイクルとも言われています。

国は力強く成長した後、社会不安になり、やがて戦争に至るというのが彼が主張したサイクルです。

  • 第1循環 1790~1844産業革命  ナポレオン戦争(1815年)
  • 第2循環 1544~1890鉄道建設  普仏戦争(1871年)
  • 第3循環 1890~1945電気・科学・自動車  第一次世界大戦(1918)
  • 第4循環 1945~2000コンピューター 東西冷戦(1945~1989)
  • 第5循環 2000~2050?IT

②クズネッツ・サイクル

クズネッツ・サイクルは約20年間のサイクルです。

住宅や商工業設備の耐用年数が約20年であることから、建設から建替えまでの期間に相当するため、建設需要に起因しています。

③ジュグラー・サイクル

ジュグラー・サイクルは約10年間のサイクルです。

企業の設備投資に起因すると言われているサイクルで、設備・装置の耐用年数が10年程度であることから発生するとされるサイクルです。

④キチン・サイクル

キチン・サイクルは40ヵ月(3年4ヵ月)の波で私たちが一番身近に感じやすい景気の波です。

今日、一般的に「景気」という場合はキチン・サイクルの期間を言います。

この循環は在庫投資を起因としています。

現在は第16循環の継続中となります。

株価は景気に先行しますので、日経平均株価のチャートは表の山と谷よりも数か月早く底値と高値を付ける傾向にあります。

日本では経済企画庁が景気動向指数などをもとに作成した「景気基準日付」というものがあり、基準年月を数えるとキチンサイクルとほぼ同じ周期で日本の景気が循環していることが分かります。

循環 名称
第1循環(期間不明) 特需景気、反動不況 なし 1951年6月 1951年10月
第2循環(37ヵ月) 投資・消費景気、昭和29年不況 1951年10月 1954年1月 1954年11月
第3循環(43ヵ月) 神武景気、なべ底不況 1954年11月 1957年6月 1958年6月
第4循環 岩戸景気、昭和37年不況 1958年6月 1961年12月 1962年10月
第5循環 オリンピック景気、証券不況 1962年10月 1964年10月 1965年10月
第6循環 いざなぎ景気、ニクソン不況 1965年10月 1970年7月 1971年12月
第7循環 列島改造ブーム、第一次オイルショック 1971年12月 1973年11月 1975年3月
第8循環 安定成長景気、円高不況 1975年3月 1977年1月 1977年10月
第9循環 公共投資景気、第二次オイルショック 1977年10月 1980年2月 1983年2月
第10循環 ハイテク景気、円高不況 1983年2月 1985年6月 1986年11月
第11循環 バブル景気、第一次平成不況 1986年11月 1991年2月 1993年10月
第12循環 カンフル景気、第二次平成不況 1993年10月 1997年5月 1999年1月
第13循環 IT景気、第三次平成不況 1999年1月 2000年11月 2002年1月
第14循環 いざなみ景気、リーマン不況 2002年1月 2008年2月 2009年3月
第15循環 デジャブ景気、欧州危機 2009年3月 2012年3月 2012年11月
第16循環 2012年11月 継続中

 

サイクルの底値の予測期間「サイクル・ウィンドウ」

サイクルの周期と起点が分かれば、次にいつ底値をつけるかを予測することができます。

ぴったりのタイミングで底値をつけるのが理想ですが実際の相場ではなかなかうまくいきません。

相場のサイクルが理論の周期に収まる可能性は80%と言われています。

そして、サイクルはピンポイントではなくある程度の期間で底値を付けるという考え方をし、底値は周期±17%の期間内と考えます。

この底値の予想期間を「サイクル・ウィンドウ」または「サイクル・オーブ」と呼びます。

例えば上の章のチャートでお伝えしたキチン・サイクルが40か月とすれば、

40ヵ月×0.17=6.8ヵ月

となり、予測された点から±6.8ヵ月の期間で底値が現れるということになります。

現在、内閣府の景気基準では第16循環が2012年11月から継続中ということですので、

2012年11月+40ヵ月=2016年3月

の±6.8ヵ月間が第16波の終了予測地点となります。

つまり、2015年8月~2016年10月に底値がつくと理論上は予測ができます。

日経平均株価指数 月足

日経平均株価指数 月足

オレンジ色で塗られたエリアの中がキチン・サイクルの終点となる2015年8月~2016年10月となりますが、今のところ第16循環が終了して第17循環に入ったとは言われていません。

しかし、チャートを見るとオレンジ色のエリアで一旦上昇が一服していますね。

第16循環は2018年現在も継続中と捉えるのか、16波が一旦終了し、現在は第17循環に入っているのかはまだはっきりしていませんが、キチン・サイクルの循環どおりの波動ですでに底値をつけている可能性があります。

サイクルトランスレーション

サイクルの波は左右対称にはなかなかなりません。実際のサイクルの波は左右どちらかに変形した形になります。

サイクルの中で上昇期間が長く、下降期間が短ければ山が右にずれた「ライト・トランスレーション」、下降期間が長く、上昇期間が短かければ山が左にずれた形の「レフト・トランスレーション」が起こります。

ライト・トランスレーション

ライト・トランスレーションはサイクル期間の中で山が右にずれた形です。上昇トレンドの時に起こりやすい形です。

レフト・トランスレーション

レフト・トランスレーションはサイクル期間の中で山が左にずれた形です。下降トレンドで起こりやすい形です。

一般的に上昇局面の場合は上昇している期間が長く、下降している期間が短くなります。

上昇相場は押し目をつけながら時間をかけて上昇していき、天井を打ったあとに一気に相場が崩れて下降していきますので、長期相場でサイクルの山が右にずれた形になりやすくなります。

また、短期サイクルは長期サイクルの方向に従ってサイクルの山が変形しやすい傾向にあり、長期サイクルが上昇トレンドの場合、短期サイクルも右に山がずれるライト・トランスレーションが長期サイクルの中で連続しやすくなり、長期サイクルが下降トレンドのときには短期サイクルが左にずれたレフト・トランスレーションが長期サイクルの中で連続しやすくなります。

したがって、山がどちら側に変形しているかでトレンドを確認することができます。

 

メリマン・サイクル

メリマン・サイクルとは

メリマン・サイクルはレイモンド・A・メリマン氏が1995年に発表した相場サイクルとアストロロジー(金融占星術)で相場のパターンを分析する手法です。

え!?星占い!?って思いますよね。でもこれが意外と当たっているという事で定評を得ています。

メリマン氏の提唱するサイクルは以下の期間があります。

  • 4時間サイクル:4時間足60~80本が1つの周期
  • メジャーサイクル:日足35~45本が1つの周期
  • プライマリーサイクル:週足が18~22本が1つの周期

※この本数に収まる確率は80%

※ズレが起こる確率は20%

とされています。

メリマン氏の考え方では価格変動は年に2~3回起こる1サイクル約18週のプライマリーサイクルを中心に構成されるというものです。

メリマン・サイクルを使ったトレード手法

豪ドル円週足

豪ドル円週足

  1. 週足を表示してローソク足を底値から数えてプライマリーサイクルを見つけます。
  2. サイクルの山が左と右どちらに偏っているかのサイクルトランスレーションを確認してトレンドを見ます。
  3. ①でエントリーして②で利確します。上昇トレンドが継続している場合は利確の目途はサイクル期間の半分を過ぎたあたりで判断します。

この手法は年3回ほどの周期を狙った中長期トレードですが、もっと短いスパンでトレードしたい場合はプライマリーサイクルの約半分の周期のサイクルであるメジャーサイクルを使います。

プライマリーサイクルで中長期のトレンドを確認した後、日足を表示させてローソク足を数えてメジャーサイクルを見つけます。

サイクルの始点の底値で買いで入り、上昇トレンド中であればサイクルの真ん中を過ぎたあたりで利確します。

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マネフルFX編集長 西畠

マネフルFX編集長 西畠

専業トレーダー。月間最高利益2000万円。2007年にFXをスタート、CFD、日経225先物オプションなども取引する。一日に数回取引するデイトレードと長期のスイングトレードを得意とする。

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